現代卓球に欠かせない技術の一つであるチキータですが、メリットやデメリットを詳しく知らない人は多いのではないでしょうか。そこで今回は、チキータの打ち方に加えて、チキータをするメリット・デメリットについても詳しく解説します。
卓球のチキータとは?
チキータとは、現代卓球において広く使われる台上技術の1つであり、バックハンドでボールに強烈な横回転や上回転をかけて返球する技術です。相手の回転の影響を多少受けにくい台上技術のため、主にレシーブで多用されています。
1990年代から使用されるようになり、今では世界トップレベルの選手から、大学生、高校生など、幅広いレベルの選手で必須技術になっています。プロ選手では、台湾の林昀儒(リン・インジュ)選手や日本の張本智和選手が多用しています。
現在多く使われているチキータは、「台上バックドライブ」と言われるほど高威力な縦回転のものが主流ですが、もともとは強烈な横回転をかけて返球する技術です。その打球がまるでバナナのように弧を描いてカーブするため、バナナのブランド名の1つであったチキータバナナに由来してチキータと名づけられました。
【卓球】チキータのメリット
幅広いレベル帯の選手で必須技術となっているチキータですが、ここまで世界的に広く浸透するのにはそれなりの理由があります。ここからはチキータの具体的なメリットを見ていきましょう。
メリット①:攻撃的なレシーブができる
チキータのメリット1つ目は、攻撃的なレシーブができることです。
通常、台から出てこない、台の中で2バウンド以上してしまうようなショートサーブに対して強く返球するのは難しく、ストップやツッツキといった下回転系のレシーブになってしまいます。
しかし、チキータであれば台の中で止まるショートサーブを横上回転をかけて返球することができます。チキータはドライブなどと同じように、ボールを上から捉えることができるので、ストップやツッツキと比べて圧倒的に攻撃的な返球が可能です。
実際、プロ選手の試合を見てみると、チキータでラリーの先手を取り、有利にラリーを進めたり、ラリーをすることなく一発で抜き去ったりと、一般的に不利と言われるレシーブからも攻撃に転じることができます。この圧倒的な攻撃力こそがチキータの最大の利点であり、魅力の1つです。
メリット②:さまざまなサーブを返せる
チキータのメリット2つ目は、さまざまなサーブを返せることです。
チキータは手首や腕のしなりを使って強烈な回転をかけます。これにより、相手のかけた回転が弱い場合には自分の回転に上書きすることができ、相手のサーブに関わらずチキータで返球することができます。
また、相手のサーブの回転が強い場合でも、チキータで返す方法があります。それは相手の回転の回転軸を外すことです。例えば、縦回転のサーブに対してボールの横を捉えれば、縦回転の影響を受けることはありません。
このようにチキータでは相手の回転軸を外すことが可能なので、さまざまな回転のサーブを返すことができます。
メリット③:さまざまな回転をかけられる
チキータのメリット3つ目は、さまざまな回転をかけられることです。
チキータはボールの捉える位置や擦る方向によって真横回転や縦回転、横上回転など、かなり自由に回転をかけることができます。例えばペンホルダーの選手であれば、相手が触ったら落ちるような下回転チキータを使用する選手もいます。
このようにチキータとひとまとめにしても様々な工夫ができるので、レシーブの幅が広がります。
【卓球】チキータのデメリット
ここまでチキータの様々なメリットを紹介してきました。しかし、多くのメリットだけでなく、もちろんデメリットもあります。どのようなデメリットがあるのでしょうか。
デメリット①:難易度が高い
チキータのデメリット1つ目は難易度が高いことです。
チキータはプロ選手から高校生など、幅広いレベルで使われる技術ではありますが、試合で使うことのできるレベルまで習得するには相当の時間を費やします。例えば、相手のサーブの低さや長さなど、色々な要素によってチキータの威力や質が左右されるため、甘いチキータであれば試合では到底使えません。
また、威力のある返球ができるかわりにそれなりの失敗するリスクがあるため、試合で使用するには勇気が必要です。
習得することができれば本当に強いチキータですが、ストップやツッツキよりも習得に相当の時間がかかってしまうほどの難易度であることは、チキータの最大のデメリットであると言えます。
デメリット②:狙い撃ちされる可能性がある
チキータのデメリット2つ目は、狙い撃ちされる可能性があることです。
チキータは難易度が高いが故に、中途半端な習得具合だとうまくボールを捉えることができず、甘い返球になってしまうことが多々あります。試合になると甘いチキータは相手に待たれてしまうことが多く、チキータをしたことでむしろこちらが不利になってしまいます。
また、チキータの質が高くなり、威力を出すことができるようになっても、相手のレベルが高いと狙い撃ちされてしまう可能性があります。例えば、レベルの高い選手であれば、チキータに慣れていることもあり、サーブを出したあとのチキータを待ちかまえてカウンター狙いしていることがあります。
実際プロ選手の試合でも、相手のチキータを回り込んでねらい打つなどの展開は見られます。チキータをしたことでむしろ不利になる可能性があるのはチキータの大きなデメリットの1つです。
デメリット③:決まった展開になりやすい
チキータのデメリット3つ目は、決まった展開になりやすいことです。
展開の一例として、相手の下回転サーブに対してのレシーブを考えてみましょう。自分がレシーブとしてストップを選択したとき、その後の展開としては、相手のダブルストップやツッツキ、フリックなど、台上の展開や下回転に対する展開、上回転に対する展開、など、様々な展開が予想されます。
しかし、自分がレシーブとしてチキータを選択した場合、相手はバックドライブやブロックなど、いずれにしても上回転のラリーの展開になります。この場合、単純にラリー勝負となってしまいます。
このように、チキータは他のレシーブに比べてその後の展開が決まり切った展開になりやすいです。単純で良いと思う方もいるかもしれませんが、単純なのは相手にとっても同じことであるため、注意が必要です。
【卓球】チキータを打つコツ
ここまでチキータのメリットとデメリットを見てきました。ここからは実際チキータはどのようにして打てばいいのか、そのコツを見ていきましょう。
コツ①:足を動かしてボールに近づく
チキータを打つコツ1つ目は、足を動かしてボールに近づくことです。
チキータはそもそも台上技術なので、しっかりと台の中に入り込む必要があります。身体とボールとの距離が遠ければ、しっかりと力をボールに加えることができないだけでなく、安定感を失います。しっかりと足を動かして台の中に身体を入れることで、ボールとの距離感が近くなり、しっかりとボールを待つことができます。
また、チキータの際にはボールの頂点を捉える必要があります。足をしっかりと動かしてボールを待つことで、頂点で打球しやすくなります。
この足の動きはチキータにおいて最も気を付けなければならないポイントの1つで、足に気を付けることで非常にチキータがやりやすくなるでしょう。
コツ②:打ちたいチキータに応じた打ち方を身に着ける
チキータを打つコツ2つ目は、打ちたいチキータに応じた打ち方を身に着けることです。
チキータと一言にいっても、威力のある縦回転のチキータから、ゆっくりな横回転のチキータまで、様々なチキータがあります。これらのチキータは打ち方が同じではなく、それぞれ打ちたいチキータに応じた打ち方をしなければなりません。
例えば、一発で決めきるような威力のあるチキータであれば、ボールの正面や真上を速いスイングで擦りながらぶつけるような打ち方をしなければならず、ゆっくりめな横回転系のチキータであれば、ボールの側面を擦り上げるような打ち方をしなければなりません。
故に、チキータをする時は、打ちたいチキータに応じた、ボールの捉え方や捉える位置、擦る方向やラケットの当て方などを身に着ける必要があります。
このことに気を付ければ、自由自在にチキータを操ることができるでしょう。
コツ③:手首だけで打たない
チキータを打つコツ3つ目は、手首だけで打たないことです。
チキータは見た目からしても、手首を柔らかく使って打っているように見えます。しかし、手首だけで打っているわけではありません。手首だけでチキータをしようとすると、チキータの大きなメリットである威力を出すことが難しくなるだけでなく、安定感も失ってしまいます。そこで、チキータを打つ際には、手首だけでなく、前腕や肘の位置を意識する必要があります。
肘を前に出すようにすると、身体の前に大きなスペースを作ることができます。この大きなスペースによって、ラケットの可動域が広がり、台の中でも大きくテイクバックを取ることが可能になります。
また、このスペースで前腕をしならせて打つことができるようになるので、高威力のチキータを打つことができます。さらには、前腕を使うことで、手首だけで打つ時に比べて段違いの安定感が実現できます。
手首を使う印象が強いチキータですが、手首だけではないということを忘れないようにしましょう。
まとめ:卓球のチキータをマスターしよう
レベルが上がっていくに連れて、絶対に習得しておきたい技術であるチキータ。チキータには様々なメリットとともに、デメリットもあります。
しかし、チキータをもっておくだけで、相手にとってはプレッシャーとなり、優位に試合を進めることができることは間違いありません。
非常に難易度が高い技術で、習得に時間はかかりますが、ぜひチキータをマスターしてみてはいかがでしょうか。